みなさんヒップホップトラック毎日聴いてますか?
このコーナーは私がこれまでトラックメイクの参考にしたり影響をうけたりした素晴らしきヒップホップトラックを紹介するコーナーです。
今回はBig Tymers Feat. Mikkey &Joi「My Life」です。
この曲との関わり
この曲はBig Tymers の「Big Money Heavyweight」というアルバムに収録された楽曲で、私が今とは違う仕事をしていた時、やたら通勤時間の長い日々において、この楽曲をひたすらリピートしていたというものです。
ヴァースとフックの楽器構成や全体楽曲構成・展開の参考にもってこいの楽曲だと私は思います。
トラックの構成
上物では印象的な鍵盤系楽器がメインの楽曲です。
この上物も比較的良質なループであると私は感じます。
フックではメインのボーカルの他、上物の鍵盤系楽器はひたすら同じメロディを繰り返していますが、コーラスの声、甲高い声、シンセサイザー系サウンドでフックに華やかさを加えます。
フックでは1拍目頭のシンバル系の音色で盛り上げますが、それ以外に盛り上げる音色は使われていません。
私としては、特にイントロからの展開が涙ものです。
イントロだけで、良質なトラックが展開されると確信させてくれるはずです。
最初のイントロからフックのボーカルとコーラスが流れますが、キックとスネア(各ヴァースで鳴っているものとは違う音色)が軽くローパスフィルターがかかったような音で、ラジオの音を聴いているかのような演出を施しています。
それに加え、フックのボーカルもアナログ的フィルターが施され、さらに後ろに下がったような音の配置となっており、もはや懐かしさを感じずにはいられません。
そして、イントロが終了間際に、ベースが唸り始め、そこからローパスフィルターを解除されたキック、スネア(スネアは音色を重ね)等のリズム隊が本領を発揮します。
その4小節後、Big Tymersのラップが火を吹きます。
曲は進み、ラストのフックで再びキックにフィルターを8小節分、スネアの音色を単発にして8小節分、また、フック開始後4小節目からベースを入れるなどの工夫を施し、シンプルなループを盛り上げるべく、構成が練られているのを感じる楽曲で、トラックメイカーの姿を思い浮かべると、感動せずにはいられません。
構成については、様々な楽曲で工夫されて当たり前の世界ですが、この楽曲については、トラックが持つ空気感に最も適した構成を選んでいると私は勝手に解釈しました。
プロの楽曲を聴くと、色々なところで発見がありますね。
これからもじっくり噛みしめるようにヒップホップトラックを聴いていきたいですね。
それでは良いトラックメイキング生活をお送りください。