こんにちは。
突然ですが、ヒップホップトラックってどんな作り方をしているのか、よくわからなかったりしますよね?
昔の私がそうでした…
そのためにどれだけの遠回りをしてきたことか…
私も他の人たちがどんな作り方をしているかわかりませんが、私のように遠回りをしないことを願って、
とりあえずここでは私のお気に入りの機材を使ったトラックメイキング法をご紹介します。
私のお気に入りの機材、
つまりAkai MPC4000によるヒップホップトラックメイキング全工程の紹介です!
では、どうぞ!
1今回のトラックメイキングの流れ
もちろん、サンプリングを主体に組み立てます。
流れは次のとおりです。
良質なネタ探し
↓
すかさずMPC4000にサンプリング
↓
サンプルをスライスし、トラックを構築
↓
DAW(CUBASE)に録音
↓
展開の作成とミックスダウン
という工程で進めます。
2 上物のサンプリング
(1)サンプリング工程
『サンプルとの出会い』
日々の生活に疲れ、趣味のトラックメイキングに逃げ場を求めていた私は、ふとしたきっかけでサンプリングに適したサンプルを見つけたのでした…
そのサンプルを聴いた瞬間!
無駄に長い経験から得た私の感が
「これは良質なヒップホップ用サンプルである!」
そのような確信を私にもたらしたのです。
私はいてもたってもいられなくなりました。
既に時は午後9時過ぎ、寝むたい目をこすり名機AKAI MPC 4000の電源に手を伸ばしたのです(当時のわたしは何もなければ大体9時頃に寝ていました。)。
とまあ、物語風の語りはこれくらいにしておきまして、
皆さんもサンプリングを繰り返す中で、何と無くそのサンプルがヒップホップトラックに相性がいいとか悪いとか、良曲になるとかいう予感みたいなものを感じたことがあるのではないでしょうか?
私はこのサンプルにそれを感じたため、早速、愛機AKAI MPC4000にサンプリングをすることにしたのです。
では、秘蔵サンプルの一部だけ以下にこっそり紹介します。
いかがでしょうか?
では早速トラックメイキングスタート!!
上の写真にある[RECORD]ボタンを押すと次の写真のとおりのサンプリングの画面になります。
サンプリングにおいては、音量が大き過ぎて、いわゆるクリップオーバーをしないように、[REC GAIN]を調整します。
クリップオーバーすると音が割れちゃって、せっかくのサンプルが勿体無いですからね。
赤いツマミを右に回すほど入力音量がアップします。
二つ前の写真にある、メーターを確認しながらツマミを調整しましょう。
ちなみに右の白いツマミはMPCから外部に出す音量の調整ツマミです。でかくし過ぎると外部の機材がイっちゃうんで注意!
音量の塩梅がよければ、「RECORD」ボタンを押すと、サンプリングスタートです。
私は4小節少し過ぎるくらいの長さでサンプリングしました。
(2)上物のスライス工程
さて、自分の感性を刺激する良質なサンプルを取り込んだところで、サンプルの長さを整えます。
写真上の波形をご覧ください。
今回は、サンプリングしたサンプルの長さが無音部分も含め4小節よりも長いので、前半の無音部分(波形が無い部分)と後半の不要な部分をカットします。
写真のとおり、画面にある「Resion」の「start」を80,000にすると丁度サンプルのスタート地点になりました。
その右側の「TIME」の値をサンプルを聴きながら調整し、丁度サンプルが4小節になる長さで数値を調整します。
その結果9.52sという数値で丁度4小節の長さになりました。
この長さで確定したいので、画面右下の「EDIT」を押して、
「DISCARD」にジョグダイヤルを回して設定し、「DO IT」を押せばサンプルがスタートポイント80,000、エンドポイント9.52sでカットされるのです。
ジョグダイヤルというのは下の写真の丸い黒ふちの銀色の部分です。
なお、回すと「カリカリカリカリ」という創作意欲を刺激する心地いい音がします。
次に、サンプルを16分割したいので、スライス作業に移ります。
画面の中段「Region:」の「1」という所にカーソルを合わせ、オレンジ色の『WINDOW』ボタンを押すと
このような画面になります。
そして、「Number of Regions:」の数値にカーソルを合わせ、ジョグダイヤルを回し、写真のように「16」に設定します。
これが「8」だと8分割になります。
今回は16分割したいので「16」で「DO IT」を押すと
等間隔で16個の区切りポイントが設定されました。
そのまま「EDIT」を押し、「SLICE SAMPLE」に進みます。
ところで、MPC4000にはprogram(プログラム)というサンプルを格納する箱のようなものがあります。
そして、写真にある「Create new program:」というのは、サンプルの分割と同時にプログラムも作成するかどうかを選ぶことができる機能であります。
写真で黒く反転している(写真では「NO」になっている)ところを「YES」にすると、プログラムの作成と同時にサンプルがパッドに自動的に割り当てられるのです。
今回は既に作成済みのプログラムにサンプルを割り当てることにしますので、「NO」にしています。
そしてそのまま「DO IT」を押すとサンプルがスライスされます。
では、今16分割したサンプルをパッドに割り当てて行きましょう。
ご覧の通り白いボタンの「C」にランプがついていますが、MPC4000のプログラムは、一つのプログラムにつき「A」〜「F」までバンクというものがあり、1バンクあたり16サンプルを割り当てることができるのです。
つまり「A」〜「F」まで6個のバンクがあるので、1プログラムのサンプル格納可能個数は16×6ということになります。
ということで、今回はまずCに割り当てます。
「C」バンクではNote(ノート)「52」という場所がパッド1(16個あるうちの一番左下のパッド)なので、パッド1からパッド16まで順番にサンプルを割り当てていきます。
「Note52」に先ほど16分割したサンプルを一つ一つ割り当てるためには、上の写真で色が反転している場所でジョグダイヤルを回してサンプルを割り当てていきます。
どんどん割り当てを進めましょう。
手慣れた素早いMPC操作でどんどんサンプルを16個のパッドに割り当てます。
そしてここで一工夫!
ヒップホップ独特の〝あの質感〟を出すために、Tuneをマイナス3しています。
ここまで約10分
さて、打ち込みの準備は整いました。
(3)打ち込み工程
己の感性を頼りにパッドにより打ち込みを開始。
バンッ、バンッ、バンッ……
・
・
・
パッドを夢中で叩いているうちに、いい感じのループが浮かんできたので、録音を開始します。
赤いボタン『REC』を押しながら『PLAY』を押すとパッドでの演奏を記録することができます。
なお、これらのボタンは押すと「カツッ」といういい音がします。
何度もパッドを叩き続け録音が完了するまで約20分間。
苦心の末、良質な上物のパターンができました。
このパターンを頼りにビートを構築していきます。
3 ビートパターン作成
良い感じの上物ループが出来上がったところで、ドラムトラックの作成に移ります。
今回はお馴染みの『asr attack』を使用します。
(1)ビートの選択
あらかじめAkai MPC4000のハードディスクに記録している、ASR Attackのキックやスネアを物色…
自分の感覚により上物ループの雰囲気に合わせて音色を選択しました。音色の選択に5分ほど。
やはりasr attackはいい音が鳴ります…
販売終了なのが残念です。
(2)打ち込み
ひたすらパッドを叩いてリズムを組み立てます。
ドラムパターンの作成にかかった時間は5分ほどでした。
4 ベースのサンプリング
ベースサンプリングネタを物色し、ベースのネタを取り込み、上物の工程と同様16個の分割ポイントを設定したところです。
ここで、ワンポイント、画面の下方をご覧ください。
写真の下の画面は、上の画面の波形の分割ポイントの拡大表示というものになります。
よく見ると波形の途中で分割ポイント(白い部分と黒い部分の境目)が設定されているのがわかるかと思いますが、このままサンプルスライスをしてしまうと、波形の途中で分割されることになるため「プツ」というノイズが混じるので注意が必要です。
このサンプルでもノイズが混じっていましたので、ノイズが出ないようにしていきます。
方法は簡単です。下の拡大表示画面を見ながら、「Start」と「End」の数値を調整していくだけです。
調整の結果は次の写真です。
この写真の下方画面では先ほどの写真と違い、波形の途中で分割ポイントが設定されていないのがわかると思います。
「Start」の数値を78,735から78,435に変えたためです。
同じように16箇所について、耳で確認しながら、分割ポイントを調整していきます。
そのあとは、打ち込みをしていきます。
ベースのサンプリングから打ち込みまで、所要時間は10分ほどでした。
5 展開を作るためにベースとなる上物ループを追加
ラップを乗せるのであれば、多少トラックがつまらなくても聴けますが、今回はラップを乗せる予定もないので、少し展開をつけるため、サンプリングを繰り返し、パターン作りも繰り返しました。
作業は20分ほどで終了。
6 まとめ
いかがでしたでしょうか。
この後の工程ではミックス作業をするためCUBASEに取り込んで展開を作りましたが、トラックのほとんどの部分をMPC4000で構築しております。
ちなみに展開の作り方は別のトラックで公開しておりますので引き続きどうぞ!(以下リンク)
今回はミックスダウンも含めて約2時間程のトラックメイキングでした。
感想としてやはり、AKAI MPC4000でのトラックメイキングは、「楽し過ぎる!」の一言に限ります。
操作に慣れてしまえば、手はほとんど勝手に動きますし、不自由さなどは感じずにとにかくパッドでの演奏に集中できる点は、ソフトウェアでのトラックメイキングにはない利点です。
手慣れたハードウェアでのトラックメイキング体験、ぜひ皆さんにもオススメしたいものであります。
それでは最後に、サンプルとの出会いから苦心の末完成した曲はこちらで試聴できます。
自宅でサクッとトラックメイキングをして全世界へ公開まで行ける。
本当に素晴らしい時代ですよね!
最後にわたしが今一番欲しいAKAI MPCの楽天商品リンクを貼っておきます。ご参考にしてください。
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次回はROLAND MC 909でのトラックメイキングに挑戦します。
“伝説の名機で作る!Akai MPC4000によるビートメイク” への3件のフィードバック