ヒップホップトラックを作るための機材の話(ROLAND MC-909編その2)

こんにちは。

この記事は私の機材遍歴をただ語るだけのコーナーです。

 

十数年前、ついに憧れの機材「ROLAND MC−909」を手に入れた私は「acid hiphop2.0」によるループの組み合わせ作業を卒業し、プロユースの機材によるトラック制作人生をスタートしたのでした。

「ROLAND MC−909」は、シンセ、サンプラーを一体化した新開発シンセ・エンジン搭載。MC-909だけで完成度の高いサウンドが出力できるマスタリングまで含む各種エフェクトを装備。ラージ・スケール・パターン・シーケンサーで自在なトラック制作。USB、スマートメディアでデータ転送/管理も簡単。充実のリアルタイム・コントローラーによる優れたパフォーマンス能力。という、

正にモンスター級プロフェッショナル機材です。当時の私にはちんぷんかんぷんであったことは御察しの通りです。

そして、この機材を使用して曲を作るには、一からメロディやアレンジを考えなくてはいけません。

これまでループ素材を組み合わせることしかできないトラックメイカーである私にとっては、あまりにも自由過ぎる、いや、難しすぎたのでした…

購入したその日、家に帰り早速MC−909に電源をいれ、16個あるパッドの一つを適当にアタック!

パンッ!パッドが点灯!

 

 

 

お見込みのとおりです。

MC−909はスピーカーかヘッドホンに繋がなければ音を出せないのです。すなわち、自らの指とパッドが衝突したときに発生する打撃音しか聞こえてこないのです。

さすがに当時の私でもなんとなく察しがつき、私のイヤホンを挿入することにしました。

 

その次の瞬間、衝撃の事実を知ることになったのです。

 

合う穴がないということです!

いや、入るけど穴のサイズが全く違うんです。

私はヘッドホンジャックにはデカイタイプの規格があるんだという新たな事実を、学ぶことになったのです。

 

以上のとおり、最強のモンスタープロフェッショナルマシンの洗礼を受けたものの、デカイヘッドホンジャックだけの商品を購入し、無事MC−909でのトラックメイク生活をスタートする私でした。

 

「ROLAND MC−909」でのトラックメイク

ループを並べるだけのトラックメイカー生活から、一気に無限の可能性を手にした私でしたが、いきなりメロディを考えろと言われても無理な話で、まずは、プロの楽曲を真似してみることにしました。俗に言う耳コピというやつです。

 

その直後、

 

音楽の知識も経験も浅い私には耳コピーなど不可能な芸当であることに気がつきました。特にヒップホップに関しては。

 

ヒップホップのトラックは独特な音色(色んな音色が重なったりしてるやつ?)で作られているものが多数あるのですが、私がコピーしようと試みた曲はそのタイプであったため、MC−909にあるピアノなどのプリセット音色のみでは、そのような独特な音にはどう頑張っても出せなかったのです。しかも当時はエフェクトとかいう名前すら知らない状態でしたので余計に出したい音は出せなかったのです。

さらに追い討ちをかけるように、運良く似たような音色があってもパッドが打ちづらすぎて、思うように打てないのです。

ところで、パッドの打ちづらさはともかく、音色については、当時の私には何故同じようにならないのかまったくもってわかりませんでした。

そういう状態でも、ドープなトラックを聴いたりした時にコピーを試み、出来ないため、コピーは諦めて、オリジナルビートを作るというサイクルをループしていました。

なんとか8本くらいの指を駆使して、パッドで音を打ち込み、4小節シーケンスを組んで、再生しながら音の抜き差しをする。という作業を2年間ほど繰り返して、MC−909だけで400曲(全部4小節パターン)ほど作成しました。そのうちにヒップホップの一曲分の構成を自然と理解していきました。

なお当時は当然、コードという存在を知らなかったので、コード進行とかはもちろん考慮していません。なお、コードというものを知ったのはそれから2年以上経ってからです。この事実に独学の難しさを認識せざるをえません。

そしてこれほどのど素人が、よくも17万円近くする機材をポンッと買ったもんだと、今となれば昔の自分を褒めざるを得ません。

 

「MC−909」でドープなサウンドを作れたのか

400曲作っても相変わらずプロのようなヒップホップトラックにはクオリティ、質感などすべてにおいてなりませんでしたが、独学で400曲も作れば、市販のものでは聞いた事がないような、オリジナリティ溢れた、自分的には自信はないけど許せるトラックはできました。

レベル的にはDJミックスCDとかにこっそり混ぜたら、違和感などによりすぐばれるくらいのものでしたが、自己満足には十分なもので、これによりオリジナルビートを車で流すという長年の夢を叶えることができました。あれほどの感動はありませんでした。

これも「MC−909」のおかげだと私は思います。みなさんも中古楽器店等で見かけることがあれば、是非購入をオススメします!(なお、筆者にとっては今だに現役です。)